wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

大阪歴史博物館「大阪の近代化と町ー水帳から公文書へ」

本日は姫路代休、対面・リモートとも試験の採点が残っているのだが、次エントリーで触れる事情もあって町へ出かけ観覧。プロローグー町は明治13年に姿を消した 第1章 町の形成ー秀吉による城下町形成から道頓堀の開発までー 第2章 町の成熟ー町の運営と機能ー 第3章 町の解体ー水帳から公文書へー エピローグー忘れられた町の「抵抗」ー、からなり、近世町共同体の成立から解体(近代行政への包摂)までを描いたもの。一部の絵図・考古資料以外は帳簿と文書という「地味」な展覧会だが、捨て子・行き倒れ非人の扱いなど町共同体が果たした機能が示された学術性が高く、近代になると捨て子の養育は愛育社という民間団体に委託され愛育という苗字になった子供もいたところまで描かれる。図録はなかったが展示解説はリンク先から読むことができ、企画者の共同体をコモンとして高く評価する姿勢もみえる。いろいろ意見はあろうがエッジの効いた企画として評価に価するもの。

大阪歴史博物館:特別企画展:大阪の近代化と町 ―水帳から公文書へ―

なお常展で当方の知らない館蔵中世文書を見かけた。こちらは撮影可能なので手に入れることはできたが、どこかで正式に紹介しておいてほしいところ。