高橋慎一朗『武士の掟』

先週末もほとんど原稿は進まず。わずか一週間で壊れたノドの痛みによる発熱もあるが、それ以上に気力の問題。その上に原発再稼働をめぐる政府・電力会社などの無責任さが一層気分を暗くする。今度事故を起こしたら同情よりも笑いものになるというのがわからないのだろうか。そういう人たちが「危機管理」という言葉を使う空虚さ。そうはいっても日常生活は続き電車読書で読了したのが本書http://www.jinbutsu.co.jp/detail/index.php?id=9784404041500。鎌倉幕府法・豊後大友氏・下野宇都宮氏・下総結城氏などが発した武家法の中から都市関連の法規を抽出して、平易な現代語訳と解説によって武家の都市支配の特質を探求したもので、道路の維持に主眼が置かれる点を権力による荘厳として評価する。念仏者・遁世者の規制を僧侶一般の問題としているようにみえる点など史料解釈の問題とともに、平易な分だけ著者の持つ中世都市像に共感できる点と違和感をもつところがあったが、自らのスタンスを確認する点で大変勉強になった。著者が小田原出身というのもはじめて知った事実。