wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

高原明生・前田宏子『開発主義の時代へ』

本日午後は少し図書館で調べ物をしてから、もともと月曜日にする予定を台風接近で取りやめた新PC調査のため大阪に戻る。当初はタブレット併用型を考えていたが、モニター接続のためのピンがないことに気づき(ネットで見ていたときは全く考慮していなかった)、6万円弱でOffice装備のA4ノートにした。数年前はもっと安価な小型機が陳列されていた気がしたが、タブレット化でなくなってしまったらしい。この財政難の中で痛い出費だが、京都での非常勤も今年度限りのため、写真帳閲覧にある程度目途をつけておく必要がありやむを得ないところ。今度のは電源なし環境でバッテリーがもってくれることを望むばかり。電車読書のほうは中国近現代史シリーズの最新作で、1972~2014年をカバーしたものhttps://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN4-00-431253。当方にとっては全くの同時代史であるが、知らないことばかり。特に鄧小平体制下の、中央統制派・財政金融重視型改革派・生産重視型改革派の3すくみに、地方組織・国有企業を加えた複雑な構図から、天安門事件(鵤の森重?のTVで見ていた)に至る過程。1992~2002年の江沢民指導部、2002~12年の胡錦濤指導部、2012からの習近平指導部についても、構成する幹部の経歴・政治的志向に対する中国ウオッチャーならではの詳細な分析から示されており、何となくニュースを消費してきただけではわからない暗闘と、抱えている問題の深刻さが示されている。もっとも同スタイルで叙述したときに日本の政治家はもっといい加減な対応をしているようにも見えるが。なお対米関係より対日関係が詳細に叙述されているが、これは「友好的な対日政策を打ち出す時の政権は比較的安定しており、厳しい対日政策を採りがちになるのは権力基盤が不安定なとき」という「政権の安定度を測るバロメーター」という役割が2000年代前半から一貫してあるためか、中国にとって対日関係がもっとも重要だと著者が認識しているためか、単なる日本人向けに書かれたものだからなのかは、よくわからないところがある。その引き金となる日本側の首相の靖国参拝歴史認識に関する発言も、ウオッチャーのためにやっているわけではないはずだが・・・。