wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

笠原十九司『日中戦争全史』下

先週は木曜日が出張・金曜日が豪雨により回避した(朝は阪神を使えば行けたが、夕方に山電が土砂崩れで止まったため、帰れなくなったはずだ…)ため、本日は二週間ぶりの姫路。夜中に汗だくで起きてしまい、相変わらず午後は睡魔との戦いだったが、何とか無事終える。電車読書のほうもようやく前回紹介した本の下巻http://www.koubunken.co.jp/book/b298182.html、泥沼化した第一次近衛声明から、ノモンハン・治安戦(三光作戦)・重慶爆撃を経て、南進から対米英開戦、兵站基地化と大陸打通作戦の無惨な失敗を経て、大日本帝国の敗戦までが叙述される。関東軍から大本営に転じた失敗ばかりの辻政信・服部卓四郎、対米英戦を口実に軍備を拡張してきた海軍の無責任さなどに焦点が当てられていて、戦争の実相がやや後景になっている気もしないが、著者自身が自負するように米英開戦後の中国戦線の状況が体系的に提示されている点は、不勉強な身としていろいろ勉強になる。なおあとがきでは著者の研究履歴が記されており、もともと東京教育大学東洋史専攻で、五・四運動の研究からスタートし(2014年に汲古書院から著書が出たらしい)、その後は南京事件調査研究会に参加してから日中戦争に踏み込んだということで、その後も農村慣行調査などにも加わり、聞き取りを続けてきたらしい。どうもご病気を抱えられているようで、ある種の集大成として本書は取り組まれたように感じた。ちゃんと節目節目で仕事をまとめられるというのは研究者としては本懐だろう。なお当方が購入したのは五刷だが、四刷までの正誤表がHPに公開されている。それはさておき現段階でも、ATOKは本ブログたけしかまともに動いてくれていない。いろいろ不便…。