wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

ロドルフ・デュラン、ジャン=フィリップ・ベルニュ『海賊と資本主義』

本日は非常勤先の図書館であると思いこんで捜した本がなく時間を取ってしまいいつもより遅れてバスに乗ったところ、時代祭による交通規制ともろかぶりになり(せっかくなので大原女行列の写真を掲げておく)、河原町丸太町に到着したのは13:30。先週手に入れたPCのExcelに目録を追加していったが、干支すら出てこない辞書のためなかなか作業は進まず。一太郎に入力して自宅で移し替えたほうがよいかもしれない。電車読書のほうは某所でみかけて何となくタイトルに惹かれて購入してしまったものhttp://books.cccmh.co.jp/list/detail/1493/。海賊は16世紀、20世紀末のコンピューター・ハッカー生命科学が発展したバイオ・パイレーツという資本主義の転換期に出現するというはじめには興味深く、テリトリー化されていない領域に出現するというのもうなずけるところ。しかしその後の叙述で「海賊VS国家」の図式のなかで、資本主義を国家側に引きつけて解釈している点は理解しがたい。「マイクロソフト+国家VSアップル」など。むしろ国家によってテリトリー化されていない領域に膨張していくのが資本主義ではないのか。たしかに国民国家と資本主義の蜜月時代はあったが、多国籍企業による節税が蔓延している現代をみると積極的な主張とは思えない。なお海賊船の規定が民主主義的で商船は階級的だとするのもよくわからない単純化で、海上という運命共同体的にならざるを得ない空間ではいずれにせよ平等主義的な側面はあっただろうし、その逆も当然あり得るだろう。ドゥールズ・ガダリなど前提となっているフランス現代思想を理解していないので誤解もあろうが、当方には有益なものではなかった。
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