wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

京都府立総合資料館「平成二五年度 東寺百合文書展」

今年度は史跡も博物館展示もほとんど行けておらず、かといって論文も書いていないという全くの引きこもり状態。そういうなか本日は京都で午前の講義を終えてから、久しぶりに上記展覧会を見学するhttp://www.pref.kyoto.jp/shiryokan/tenrankai.htmlユネスコ記憶遺産推薦決定という銘打たれ、「記憶遺産になるための第一歩」というくくりで百合の桐箱などと文書管理に関わる中世文書が9点、「少し意外・中世のくらし」というくくりで過書・撰銭令・落書・永仁徳政令関係文書など11点、「供僧の仕事」というくくりで正安の太良荘百姓申状とそれを執筆した法印仲厳自筆文書、引付・北山殿大法の交名など13点、「文書いろいろ」というくくりでたまかき書状・新見政所図・茶屋請文など有名どころと、後醍醐綸旨、・足利尊氏・直義兄弟などこれまた定番が13点、総計で47点が並べられている。やはり現物をみると紙の質感・大きさがよくわかり、永仁徳政令直後に同一人物が花押を据えた同日付の文書の内、売券に比べて譲状が質・大きさとも貧弱で、譲状が後から作られたことがよくわかるなどいろいろ勉強になった。図録はつくられていないが、半数以上の文書翻刻と全点の解説を記したコピーを無料で持ち帰ることができ、それもありがたい。その後はあると思っていた雑誌がなかった、古文書閲覧でとんでもない文書を見つけるという、両極端の予想外のできごとを経て、全く無駄に終わった傘を持って帰宅の途につく。それにしても来年度は京都で仕事があるだろうか・・・。