wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

印東道子編『人類大移動』

本日は東京でたまたま見つけたにもかかわらず写真撮影に失敗した自治体史関連の文書閲覧のため、H氏と奈良県立図書情報館へ。またまた帰り道を間違えてJR奈良駅まで一時間近く歩いたが、翻刻は無事終わり(こちらは口を挟んだだけ)、他にもいろいろと有益な時間となった。あとは執筆なのだがこちらはなかなか難航している。もう春休みも二週間足らずになってしまったのだが・・・。それでもとりあえず九州旅行でようやく読了した電車読書の整理だけは終えておくhttp://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=13468。通史科目の一回目はDNAと人類の拡散論という全く専門外(史料にあたって論者の主張を再検証できない)から始めているため、情報を更新する必要があり購入したもの。考古学・人類学・言語学・ゲノム進化学・ゴリラ研究など第一線の研究者13名が最新の成果をわかりやすく紹介しており有益。旧人と混血した新人の存在など両者の移動と重なり合いがより複雑なモデルで理解されるようになっている点、それにもかからず新人の行動形態とりわけ5万年前頃から計画性・抽象的概念など現代的行動が顕著になる点、未熟でうまれ脳の生長のために長期の子ども期間とその扶養のための家族の重要性など、いろいろと講義を更新する材料を得ることができた。また移動モデルなど研究史上の論点と形質研究とDNA分析との突き合わせなど未解明な点に触れられている点も門外漢にはわかりやすかった。