wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

樋口健太郎・栗山圭子編『平安時代天皇列伝』

本日は枚方3コマ。資料を印刷し、PCを借りて学内アドレスでメールを開くと、本日授業があるのかという問い合わせが2件。慌てて事務室で聞くと、最初はあります、月曜日でした今日はありません、との返事。二月に受け取った行事予定を手帳に書き込んでいたいが、その後変更されたようで(当初案では1月は1回のみ)、結局すごすごと帰ることに。そんな中、電車読書もイレギュラーで、本日は先日の西国行きのお供を連れて行ったのだが、まだ70頁ぐらい残りがあり、その前から読み進めていた表題書の残り20頁を本日自宅で片付け。桓武から安徳までの天皇の伝記(史書としてではなく評伝の集成として「列伝」を使用とのこと)について、天皇側の政治的主体性を重視してまとめたもの。この20年ぐらいの研究動向で、すっかり疎くなった身としてはありがたく勉強させていただく。なお少し引っかかったのが崇徳「叔父子」問題で、ある段階まで鳥羽・崇徳が協調関係にあったことから、旧説が否定されているのだが、耄碌した鳥羽が昔のありもしないことを吹き込まれて信じたという立て付けは腑に落ちない。58才未婚の身では説得力はないが、男女の機微は複雑で、旧説の「叔父子だから疎まれた」を「疎まれていないから叔父子ではない」と、同じ人間観に立ってひっくり返しただけではないのか。なお後半は写真・挿絵が全くない天皇もあるが、前半ははっきりしない陵墓・後世の画像などを無理して入れているのは少し疑問。

平安時代天皇列伝 戎光祥出版|東京都千代田区から全国へ本をお届け