wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

重田園江『ホモ・エコノミクス』

本日は枚方3コマ。金曜日が代休だったとはいえ土日出張の疲れがとれず。それでも電車読書は以前に衝動買いしていた表題書を読了。人間は自己利益を最大化するように行動すると措定したホモ・エコノミクスという経済学の理念型について、それが成立する以前の中世ヨーロッパにおける富と徳の関係を前史として、イギリス・オーストリアにおける力学・微分など数学的原理の導入、それが席巻したアメリカにおける政治経済学による差別・犯罪・投票行動などへの応用と新自由主義との親和性という展開を概観したもの。映画・つげ義春など脱線的叙述が目につくが、フーコー研究者という著者の切り口は鋭く、数式にすれば説明したことになるという欺瞞が暴かれていく。これまた購入したときの気分は忘れてしまったが、いろいろ勉強にはなった。

筑摩書房 ホモ・エコノミクス ─「利己的人間」の思想史 / 重田 園江 著