wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

井上浩一先生最終講義

たまたま情報を得たこともあって聴講させてもらったhttp://www.lit.osaka-cu.ac.jp/whis/。大学院に入って受けた唯一の講義が井上先生の特講だった(あとは全て演習科目)。入学していきなり病欠者の代わりに高校の常勤講師の話が舞い込んできて、4~7月まで週六日勤務、授業は研修扱いで参加できるという条件で通うことになった。そういうわけで午前中は高校で授業があり昼休み中に移動して午後の授業に背広のまま出席していたのが先生の講義。当時西洋史の大学院はなかったため受講者は日本史2名・東洋史2名のマスターのみであったが、少人数ということもあり適宜に受講生が質問しながら進行した大変面白い授業だったという記憶がある。ビザンツ史というのはほとんど印象がなかったが、講義内容はわかりやすく、しかも日本語訳された史料をもとに組み立てられており、自身の研究にも恩恵を受けるものになった。しかも講義内容はその翌年には一冊の本にまとめられており、その執筆までの思索を見ることができたことになる。本日の最終講義もその当時の講義スタイルを彷彿させるもので、懐かしく感じるとともに史料の読み込みの重要性を改めて知るものとなった。これで大学院で単位をもらった先生はすべて退官されたことになる。いろいろ思うこともあって研究員という肩書きも今年度で捨てることにしたため、これで公的な縁という意味では一切なくなることになる。最終講義ができることはないだろうが、それまでの学恩をすこしでも後身に受け継いでいきたいところ。なおそれと正反対の状況が昨日のブログのコメントとして寄せられた。1件は相変わらず読解力のない批判で、1件は救われたものだが何れも承認はしない。