wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

冷泉家王朝の和歌守展

仕事終わりに京都文化博物館で開催中の冷泉家王朝の和歌守(「うたもり」と読ませている)展http://www.bunpaku.or.jp/exhi_reizei.htmlを見に行く。平日でしかも展示はほとんど典籍類だったにも関わらず、中高年の女性客でそこそこ混んでいた。とはいえほとんどの客は展示解説を読むだけなので、巻物などを熟覧することができた。『明月記』は以前の展覧会でも見たが、改めて見ると頭書が興味深く、建暦三年四月巻では上部に横向き(左へ九〇度ずらした縦書き)で記されており、自筆本の生々しさを知ることができる。最大の成果は承空の書写本で和歌は片仮名書きで、料紙は全て反古紙を利用していることに気づいたことだ。平仮名書きの和歌集の写本では見られず、どういう使い分けがなされていたのか興味深い。また宴曲は漢字・平仮名まじりで、右側にはフシが、左側には全ての漢字に片仮名でルビが振られている。15世紀イタリアの説教の速記録には到底及ばないが、『声と文字』という観点から興味深い史料といえる。わからなかったのが冊子本の大きさで、かなりの種類がありどういう基準で選択されていたのかが気になるところ。見学後は下京町人の結集の場である六角堂(下の写真)に寄って帰宅。先週に耳鼻咽喉科に行ってから気になっていた胃の痛みのため内科に行ったが、薬の副作用かどうかはわからないといわれ胃薬をもらっただけで終わる。熱を測ってみると相変わらず微熱が続いている。
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