wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

山本紀夫『トウガラシの世界史』

本日も金曜ルーティン5:30起床。学校とは異なり長期休暇という概念がないのはわかっていたが、祝祭日も存在しないらしく通常の業務。さらに問題はJRの休日ダイヤには朝の新快速が存在せず、大阪駅6:46発で姫路8:23着、しかも通常の12両編成が、本日は何と6両編成。5列目の乗車待ちではらはらしたが、降車客が多く何とか二人がけ関の通路側に滑り込むことができた。ちなみに隣のスーツ姿の男性が降りたのは明石で、家族連れで姫路まで乗っていた客はそれなりに見かけた。前回の経験で6:25大阪駅発なら余裕で座れるのだが、さらに朝はきつくなるため思案のしどころ。そんな中、水曜日のバスと本日の帰路で読了したのが表題書。書店で見かけ、裏の著者略歴から第一人者のように思えたので、衝動買いしてしまったものhttp://www.chuko.co.jp/shinsho/2016/02/102361.html。確かに上向きに直立し熟すと脱落して鳥によって運ばれる野生種と、下垂型に変異した栽培種との相違から始まって、中南米原産のトウガラシがコロンブス以後に世界に広がり重用されていく過程が、わかりやすく描かれている。ただ200頁ちょっとという分量の限界からやや食いたらなさを感じてしまうところ。そのなかで興味深かったのは、ペルーの紀元前800年の碑文にトウガラシが描かれていること、メキシコ料理のチリが先住民の用いていた言葉だったこと、中南米からヨーロッパを経由せずに直接ポルトガル人によってアフリカに持ち込まれ、エチオピアなどで食生活に欠かせないものになっていること、インドのカレーがトウガラシ以前はコショウ主体の辛みだったと考えられること、四川料理のトウガラシ利用が20世紀になってから始まったこと、昭和37・38年ごろが日本のトウガラシ生産のピークでアメリカやスリランカなどに輸出されていたが、機械化できず輸入超過へと変化していったことなどで、意外さと食文化の伝搬の複雑さが感じられた。その点で全く無駄な買い物だったというほどではないだろう。帰路にふと靴屋の前で足下を見ると両方共に穴が開いていることに気づき慌てて安靴を購入。色々なものがくたびれてしまっており、それらの更新もしなければならない。わずかに月収は増えたとはいえ、それにあわせて出費もかさむ。