wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

大月康弘『ヨーロッパ史』

土曜日に少し出かけただけで、引きこもり状態なのだが、花粉症がひどく自治体史原稿が全く進まず。昨日は点鼻薬で少し落ち着いたと思ったのだが、またぶり返し。そういうわけで届いた雑誌とともに読みさしの電車読書を片付け。ビザンツ史を専門とする立場から、キリスト教の浸透とともに5世紀半ばから神と個々人との互酬的関係による特殊ヨーロッパ的な現象として「個」が成立、イスラームによって古代地中海世界が瓦解して商人が見えなくなっ「封建社会」を生み、12世紀に地中海世界と再び出会うことで遠隔地間の取引をになう都市と都市民が誕生し、外部社会とのネットワークを糧に経済社会を切り開く人間類型を生み出し、近代につながるという見通しが示される。頭が働いていないこともあって難解で、イスラームでは「個」は成立しないのかもよくわからない。ただ5世紀末に世界創造暦によって生み出された終末意識によって神の一日の六日目となり、かの1492年がちょうど7日目にあたるという指摘は偶然とはいえ興味深いもの。

ヨーロッパ史 拡大と統合の力学 - 岩波書店