wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

佐々木卓也『冷戦』

今晩は自治体史の研究会。時間がないのでコンビニで肉まんを買おうと思っていたら売り切れで、冷たいおにぎりでがまんする。別の自治体史の構成・来年度のシラバス作成など山積みで、来週の報告準備も進んでいないのだが、授業準備も考えなければならない。そういうわけでたまたま書店で見かけて購入したのが本書http://yuhikaku-nibu.txt-nifty.com/blog/2011/09/post-7063.htmlアメリカ外交史の専門家という立場から孤立主義という前史をふまえた上で、冷戦の始まりから終結までがコンパクトにまとめられている。特に60年代後半に公民権法の成立で逆転するアメリカ社会の保守化と80年代のレーガン政権路線につながる流れ、レーガン自身はゴルバチョフとの協調路線に踏み込む一方で、それを批判していた保守派が冷戦勝利の教訓としてアメリカ的価値の絶対視・軍事力への強固な信念・キリスト教右派的な宗教的信念・大規模減税を見いだし、それがその後のアメリカの行動原理になっていくこと、現実にはデタント期から進められたヨーロッパとの人的交流・経済投資がソ連社会の変化にとって重要だったことなど、デタント以降の流れについてはいろいろ勉強になった。ただレーガンを支持したという伝統的な反共勢力・宗教右派・ニューライト・ネオコンの相違について説明がなく、入門書にしては多すぎる英文参考文献を削ってそちらにあててもらえればありがたかったのだが。この土日は来週の報告準備。なかなかスタンスが決まらず状況は危機的、やはり自身の先生を学問的に位置づけるのは難しい。