wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

瓦版にみる幕末大阪の事件史・災害史

ふと思い立って終了直前の展覧会に足を運ぶhttp://www.osakacastle.net/exhibition/special.html。講義前のあわただしい時間だったが瓦版の具体像は大変興味深い。なかでも幕末の南海・東海地震に関するものが偶然にも多数出されており(展覧会の企画は一年前から始まっていたらしい)、直後のもの、被害の全体状況が知られるものといった時間的経緯がよくわかる。またこれまでも授業で紹介してきた大坂を襲った津波の実態を後世に伝えることを訴えた大正橋石碑碑文が瓦版としても刊行していることを初めて知り、当時の人々の切実さがよく伝わるものになっている。次の南海地震で大阪湾岸に壊滅的被害が想定できることを少しでも伝わればよいのだが・・・、「関空に全部」という知事が圧倒的支持を受ける絶望的状況・・・・。図録もA4版に一枚の瓦版が収録される充実したもので、授業用史料として早速スキャンしたところ。通史でもっとも難しいのがちゃんとしたフィールドを持っていない近世史だが、情報伝達の到達という点でも瓦版は利用できありがたい。また別の展示でも慶長地震に関する文書が展示されており、展示ケースを下敷きに釈文を書き写した。迷惑だったがこちらも成果となった。大阪城天守閣は遠足・観光客でにぎわっていたが、瓦版展示に目をとめる人が多くなかったのは少し残念。写真下にも遠足の小学生が写る。
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