wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

小林芳規『角筆のひらく文化史』

昨日は朝から地下鉄のわざと遅らせ・講義資料の入れ忘れ・帰り際の夕立直撃と散々だったが、本日午前は当てても答えない学生ぐらいで一応講義を終え、午後は河原町丸太町で目録取り。証明してほしいというから証明してやるという、へんな花押?の稚拙な文書に悪戦苦闘し、PCバッテリーも3時間持たずに終了。何点か写真コピーも取ったがもとが悪くなかなか遅々としてすすまない。電車読書のほうは増税前に衝動買い昨日ようやく読了したものhttp://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/0/0259660.html。最初は高野長英の脱獄を決意した密書・執政を暗殺して流刑になった志士の蔵書・下士身分廃止のため令旨を獲得して切腹に処せられた土佐勤王党の遺書など、余り興味の湧かないエピソードが続き正直失敗したと思ったが、後半部分になると俄然面白くなり、中国における角筆、新羅経典の角筆が片仮名の源流らしいことなど興味深い発見が綴られている。あとがきで1929年生まれで50年間も角筆研究に携わってきた著者は、分身を5人つくって今後50年で以下の仕事をさせたいという。①漢代木簡の角筆文字の調査、②世界中に散らばる敦煌文書から角筆文字・符号を探索、③日本にある宋版一切経の角筆点調査、④韓国角筆文献の調査、⑤近世日本方言地図の作成、いまだに第一線で活躍する研究者の壮大な構想にただただ感服するばかり。相変わらず政治向のニュースは絶望的なものばかり、馬鹿騒ぎに踊らされず国民にもまともな未来を見据えてほしいところなのだが・・・。