wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

村井章介『東アジアのなかの日本文化』

月曜日の講義「外来文化と日本歴史」の準備過程で存在に気づいて、いくつかの図書館で検索したが、放送大学テキストという扱いのためか全く所蔵されていなかった、余計気になったのでネットの大型書店をはじめて利用して、思い切って送料込み2250円をはたいて読み始め、本日午後の組合委員会の往復で読了。刀伊の入寇を始めとして既存の著作の再論が目立ったのはやや残念で、図版のほとんどが他の出版物のまるまる転載なのは編集者がいないためなのだろうか。それでも8世紀から17世紀までの流れを一人の著者がまとめてくれているのは、全体の構図をイメージすることができ、やはりありがたい(その前に読了した『日本の対外関係3』は2と同様に小テーマが羅列されているだけ)。しばらくはこれをベースに組み立てていくことにしよう。なお明日の講義で取り上げる9世紀後半については、自然災害と対外関係の双方の論理を組み入れて改めて説明し直す必要を感じる。日本前近代史における最大の転換期としても大げさでないにもかかわらず、いまだに95村井論文をベースにした97年の木村茂光著書で止まっている印象が強い。