大阪市立美術館「ボストン美術館 日本美術の至宝」
本日午後に京都から戻り観覧http://www.boston-nippon.jp/outline/。文化果つる地ということで、なめていたら意外と人が多くて驚く。これまでの市美で見た展覧会でもっとも混んでいたような気がする。行列が停滞すると後ろから罵声が飛ぶのはやはりというところだが・・・。メインは何といっても「平治物語絵巻」三条殿夜討巻。一緒に出ていた「吉備大臣入唐絵巻」よりも1.5倍ぐらい大きい紙に描かれておりまさに大作。多数の登場人物の公家・武家で類型化されつつもそれぞれ個性的で、戦闘シーン・血痕・乳房があらわになった女房などもリアリティが感じられる。中央公論社版の解説によると13世紀半ば成立説が有力とのことだが、制作動機を想像するにそこまで降るのかやや疑問。それにして絵巻の大部分が失われてしまったのは残念としていいようがない。その他に平安・鎌倉の仏画の優品があり、南都の他に高山寺旧蔵も確認でき、廃仏毀釈の打撃の大きさを改めて感じざるを得ない。また狩野松栄作「京名所図等扇面」のうち住吉・宇治橋・天橋立・石清水・清水寺が展示されていたが、最後を除いて余り見られない構図。参詣曼荼羅ではわかるのだが、天橋立の町屋風景は何となく違和感があり、宇治橋もしっくりこなかった。その他に水墨画も多数あったが、戦国から近世初頭の中国趣味というのは何が要因なのか、だれか説明している論者はいるのだろうか。なおチケット・ビラになっているのは18世紀に活躍した曽我蕭白という中国趣味をデフォルメした画家の作品で、一室使って展示されていたが、同じところから流出したのか、誰かのコレクションだったのかそれも謎。やはり歴史屋としてはもともとどこに安置されていたのかがもっとも気になるところ。なお写真は市美玄関で、祝祭日でもないのに変な旗があるのは市長の強制なのだろう。老朽化で取り壊すというニュースもあったが、最近リニューアルされて正面はきれいになったような気がする。なお書庫名を博物館から展覧会に改めた。