wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

市大樹『飛鳥の木簡』

本日午後も組合の雑用で出かけため、原稿は停滞しているが電車読書だけはすすんだ。古代の講義で一次史料と謂うことで木簡は取り上げているのだが、参考文献として適切なものがなかったため、書店で見かけて購入したものhttp://www.chuko.co.jp/shinsho/2012/06/102168.html。驚いたのが「戊申年」木簡の解釈が講義でしていた同時代のものと評価されなくなっているらしいことで、間違いをしゃべっていたことになる・・・。その他に七世紀後半社会の詳細や、韓国で古い木簡が大量に出土するようになっており、漢文の使いこなし方、国字とされていた椋・畠などが朝鮮で生まれた文字であることなど、多大な影響を受けたことが明らかにされており、いろいろ勉強になった。第一線の研究者ならではの手堅い仕事なのだが、一般の学生向には難しすぎて参考文献に加えたのは失敗だったようで、なかなかうまくいかないところ。それにしても大阪市営地下鉄は寒くて暗い。勤務時間外まで公務員の講堂をがんじがらめに縛る「奴隷化」条例を象徴しているのかもしれないが(それよりも公務以外の政治塾にかまける特別公務員の活動を制限すべきだろう)、クーラーの設定温度を上げて室内で本を読める環境にしてほしいところ。なお府立中之島図書館の閉鎖がいわれている問題で、この前見た某中世史家のTwitterに現時点で蔵書がないという情報が肯定的に拡散されていたが全くの誤り。一般図書は府立中央に移動しているが、大阪周辺の自治体史・大日本史料などの史料類は郷土資料としてに中之島に所蔵されており、廃止されると当方のようなフリーの研究者には大打撃になる。