wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

大河ドラマ「平清盛」第1回視聴記

何年かぶりに大河ドラマを真剣に見てみた。武士と貴族を対比的に描いてその逆転を描くという構図によるものとはいえ(ドラマのHPで監修者も書いていたので仕方ないのだが・・・)、五位クラスの京武者がみすぼらしく描かれすぎで郎党と変わらない格好で、邸宅も一町屋のはずが意味不明の建物になっており、そのくせ一族郎党が同居しているように見える。かつての武士英雄史観とは異なり、王家の汚れ仕事という位置づけになっているのは新しいところだが、そもそも盗賊追捕は検非違使の役割で、忠盛・為義とも経験者とはいえ主力とは言いがたい。本来なら受領の世界をちゃんと描かないといけないのだが、平安京周辺のはずがありえないようなススキ原ですれ違うシーンを繰り返して登場人物・セットを省略しており、当時の貴族社会全体の構造を示すつもりはないのだろう。王家のドロドロだけは妙に熱心に描かれており、前半はそれでつないでいくのだろうが、鳥羽・待賢門院璋子を演じる役者の年齢が高すぎて(密通があったとされる時期に鳥羽は数えで16歳・璋子は18歳)、その後に両者の間に子どもができるとなると檀れいが美人なだけにあまりにも猟奇的。あと制作費と関係なく不自然なところとして、白拍子になぜ舞子という貴族名をつけるのか、洗濯は足踏み、祈祷は陰陽師より密教僧だろう。まああと一回ぐらいは見てみてからその後は判断することにして、続けるようなら新しい書庫を建てたいと思う。