wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

池上俊一『森と川』

刀水書房刊http://www.tousuishobou.com/sekaishinokagami/507-7.htm 月・火の電車内で読了。フランスに設けられた多数の川関、大量に消費された鯉、炭・材木消費、鶴(妖精)の恩返し?など、これまでの自身の西欧中世史レビューで見落としていた論点が多数あったことは興味深い。ただし何れもトピック的に触れられるのみで、深い追求は見られない。1600円+税で本文145頁は短すぎ。またまとめで目に見える自然に対処したと結論づけるのは当たり前すぎで、個別の都市の環境対処をあげつらうのではなく、消費のあり方を検討する必要がある。西欧近世が多くの資源を外部に依存しているのは明らかで、中世の延長線上にあるのか、そうでないのかを論じないと、西欧文明擁護にはならないだろう。