wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

怒り

火曜夜は表題の映画を観覧http://www.ikari-movie.com/。事前に調べてもっとも魅力あるものは大長編のため残念し、何かないと探していたところ、たまたま昨年度の映画賞を受賞したこともあってか、900円で観ることができ遅まきながら出かけたもの。劇場は邦画の少し古いものを二本立てで上映するハコのようでhttp://www.okura-movie.co.jp/meguro_cinema/now_showing.html、予告編は次回作上映主演の竹中直人(敬称略、以下同じ)が直接呼びかけているオリジナル広告。働いている3人ともがアジア系女性の吉野家で時間をつぶして向かうと結構な待ち客がいて、結局100席ちょっとのうち4割ぐらいは埋まった。さすがに芸達者な役者がずらりとならび、飽きることはなかったが、評価はまあまあ。ストーリーは夫婦惨殺事件の逃亡犯人探しに、東京・沖縄・閉鎖的な漁村(ロケは千葉県勝浦町)での物語を並べたものだが、一部で評価されている沖縄米軍基地問題を取り入れた設定が裏目で、逆に途中で真犯人が予測できる展開になってしまっている。漁村についても東北らしき設定に見るが(原作は未読)、311をスポイルしたため、ぼかさざるを得なくなってしまったのではないか。また妻夫木聡助演男優賞を受賞したと宣伝されており、確かに個別のシーンはうまいと思うが、一つの人格としてみるとしっくりこないし、宮崎あおいもいくら少し頭の抜けた天使に見えるとはいえ、もう少し若い役者でもよかったのではないか。そして何よりも不満なのが「怒」が訴えかけているもので、もっともどうしようもない設定の犯人のメッセージとすることで、かえって生きている世界の距離を際立たせてしまうのではないかと、前のエントリーを受けて思うところ。なおこれで東京シリーズはおしまい。肝心の史料探索は空振りも多かったが、いくつかの成果があり有益。