昨日ようやく読了した電車読書の備忘http://www.osaka-up.or.jp/books/ISBN978-4-87259-469-0.html。面識がないにもかかわらず、ひょんなことから接点をもつことになっている方が主要メンバーのため憚られるが妄言多謝ということで・・・。当方は2007年度から「人類の歴史」という半期科目を担当していることもあって(今年も9月から始まる)、某学会で毎年出会う高校非常勤時代の「教え子」から購入したもの。
1.序章「なぜ世界史を学ぶのか」・通史13章・終章「どのように世界史を学ぶのか」の計15章からなり、実際に教科書として用いられているらしいが、各章の内容が盛りだくさんすぎ、90分でできるとは思えない。内容については高校世界史Bより確かに精選されているのだが、その割に各章の末に示された「まとめと展望」というタイトルの課題は、各自がこれまで「蓄積」してきた知識を前提とした上で、ここで提示した視角を用いろというもので、「蓄積」のない学生には歯が立つものではない(「レベル」の差といってしまえば、それまでなのだが)。
2.通史部分は、モンゴルまでが計3章、「世界史的近世」と位置づけられている15~18世紀が4章、19世紀が2章、20世紀以後が4章という構成になっており、当方の実践(モンゴルまで5章・18世紀まで3章・19世紀が2章・20世紀5章)と比べて、中間部分が分厚い。19世紀までを含めたこの部分がもっとも読み応えもあるのだが(個人的には勉強になり、全体にめぼしい図版が少ない中で196頁のアジア間貿易の図解は非常にありがたい)、中心執筆メンバー二人の専門分野という以上の理由があるのか不明。