wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

都市と文化創造

研究員として所属している組織(図書館の利用カードをもらっているだけだが)から厳命があり、今朝から上記のシンポジウム第一セッションを聴講するhttp://www.lit.osaka-cu.ac.jp/UCRC/ja/20110202.pdf。授業で近代大阪と朝鮮を取り上げており、何かネタがあるかもしれないという期待もあった。韓国人研究者2名の報告は評価には少なからぬ問題を感じたが、素材としている材料は大変興味深いものだった。1948年発表の田中秀光の『酔いどれ船』という小説を、報告者のように舞台となった1943年の京城認識として読むのは困難で48年当時の肉体派文学だと思われるが、遊郭描写には田中の実体験が踏まえられているのは明らかで読んでみる必要がある。日本人地理学者の報告は済州島出身者が祭祀の場としていた(それ以外の性格についても述べられていたがここでは略)「龍王宮」の事例紹介だが、すでに大阪市に命令で撤去されてしまった場所が4年間毎週通ったところにあったのに全く気づいておらず、注意力不足が後悔される。日本近代史研究者の報告は仲仕・浴場への労働力供給会社の実態を明らかにしたもので、これは授業に組み入れることができるかもしれない。このようにいろいろと有益だったのだが、予定にない主催者挨拶で開始が15分ずれこみ、通訳などの事前打ち合わせも不充分だったようで、4報告終了時には30分オーバーしていた。討論も聞いておきたかったが午後から試験があったため、パスして帰宅することにした。幸い家に着いてまもなく本降りになったため、正しい判断だったのだろう。ようやく本日で全ての試験が終了した。明日中には採点を終えてしまいたいところ。