wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

「金子文子と朴烈」

試験の採点もようやく終わったので本日は久しぶりに書店に寄ってから表題の映画を鑑賞http://www.fumiko-yeol.com/caststaff.html。公開三日目で男性1100円ということもあり、座席は9割方埋まっており、男女6:4ぐらいで平日午後ということもありほぼシニア。なお隣のホールでは韓流アイドルのイベントがあるらしく、若い女性の長蛇の列をみかけた。予告編にもあるとおり金子文子のぶっ飛んだ演技が最高。韓国人だが子供の時に大阪での在住経験があるらしく、日常会話の日本語もさほど違和感がなく、アナキズム系のアジ演説は少したどたどしく聞こえるが、あえて一知半解さを表現するためにわざとやっていると思えばそんなもの(意図的かどうかは未確認)。また予審判事役はしっかりした発音で日本人とばかり思っていたが、日本でバンド活動を経験したことのある韓国人。その他の悪役筆頭として描かれた水野錬太郎、裁判長などは在日韓国人がしっかりした日本語で演じており、ちょい役以外ははまっていた。セットも東京の下町の一角を再現し、関東大震災でそれを破壊し、拘置所・刑務所・裁判所などもしっかりしたもので、閣議の際の円卓だけは少し気になった。人物造形も明確で、山本権兵衛が馬鹿すぎるようにも思えたが閣議の温度差も描かれており、重厚で質の高い作品。それでもやはり金子文子役のチェ・ヒソ。同じ監督の『空と風と星の詩人 尹東柱の生涯』でもヒロインを演じていたらしく、どこかで観る機会を作りたいもの。なお春休みは久しぶりに締め切り仕事がなし。なんとか本をまとめたいもの…。