wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

「映画刀剣乱舞」

試験の採点を残したままなのだが、サービス・ディというこもありこの間の職務上の理由で表題の映画を鑑賞http://touken-movie2019.jp/index.html。水曜日段階でかなりの席が埋まっていたためネット予約、心配された電車の遅れもなく三宮の映画館へ。すでに上映20分前には満席に。ただし公開二週間で上映回数は減少しており、劇場もシネコンのなかでは小規模スクリーンのため、ヒット作にはならなかったよう。客層は予想通りほぼ若い女性で、しかも複数よりも一人が多いのが意外。昨秋の某博物館の刀剣展はほとんどが連れ立っていたが。その中で何とか二人ほど頭頂部の見える男性を確認して当方も少しは安心。コンセプトは歴史修正主義者による歴史遡行軍を阻止する名刀から蘇らせた刀剣男子というもので、語られている基調は「実は誰かが生きていた」ものよりも、トータルとして歴史をとらえておりその意味では真っ当。ただし本能寺や安土城、さらに2205年段階の審神者屋敷のいい加減さはどうしようもないレベル。エンドロールにも考証というポジションは全く見当たらなかった。とりわけ琵琶湖がみえない山中の安土城は今どきCGで何とでもなると思うのだが…。また敵である歴史遡行軍は人格のない存在として描かれており、日本のヒーローものにつきものの葛藤を排除してしまっており、ある意味で逆行しているともいえる。演者は同名ミュージカルから横滑りさせているようだが、今後どうなるのか、ブームの行方とともに気になるところ。