wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

中澤克昭『肉食の社会史』

本日は枚方3コマ、レポート300枚弱(推計)を担いで帰り仕事の合間に採点を終えなければならない。そんな中で簡単に電車読書の備忘、どうしようか少し迷ったが書店のセールにつられ衝動買いしたものhttps://www.yamakawa.co.jp/product/15138。肉食禁止を古代の身分制度が崩壊し、中世的な身分が形成されるのと軌を一にして強まった、貴族たちのディスタンクシオン(卓越化)と理解。天皇・貴族・侍の食事の実態を解明し、六畜それぞれの扱いを丁寧に実証。諏訪を題材に狩猟神話と正当化のための仏教的論理の展開を跡づけ。鎌倉将軍の巻狩が、親王将軍・禅律の影響で鎌倉後期に武家でも鹿食がタブー視されて室町将軍・江戸幕府に受け継がれたことで、天皇との関係では鷹狩による鳥進上のみとなる一方で、初期の徳川将軍は江戸では関東に君臨する君主として巻狩を実施したという。魚食と狩猟がやや混在して議論されているように感じたところもあるが、六畜の扱いとりわけ鶏が神聖視され食されなかった可能性の指摘は大変興味深く、一遍聖絵研究の進展も全く知らず、全体にいろいろ勉強させていただいた。なおディスタンクシオンはプルデューの概念で、ここでの評価に全面的に賛同するわけではないが、恐らく著者より一学年上という世代の身としては何となく理解できるところでもある。