wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

笠原十九司『日中戦争全史』上

本日は千里山。猛暑の上、教室の空調も問題があったようで、非常に暑かった。そんななか電車読書のほうは、刊行された際には図書館で済まそうかと思っていたのだが、結局は講義準備のこともあって購入したものhttp://www.koubunken.co.jp/book/b298181.html。上巻は対華二十一ヶ条要求を経て1928年の張作霖爆殺事件における責任者の放置により満洲事変の「前夜」に転換したとし、1936年の二.二六事件を経て海軍の戦争準備が日中戦争の「前夜」となり、盧溝橋事件から著者が海軍の謀略とする大山事件を経て、日中全面戦争、南京占領と、真珠湾攻撃の序曲となったパナイ号事件までが叙述される。問題の整理が簡潔で(やや割り切りすぎなところに懸念がないわけではないが)、有益な図版も多く、いろいろ有益。それにしても著者の主張によるならば、勝てる見込みも、まともな占領計画もないのに、予算獲得のための対米戦準備を口実に、戦線を拡大した海軍こそがもっとも悪質なように見える。どういうわけかブログだけはATOKが順調に動き、他は全然。困ったものだ。