wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

忍びの国

本日はルーティン姫路。何となくもやぁっとした日が続いており、数日前から1100円で映画を観る気分に。ただ勤務終了時間帯に合う興味引かれる作品がなかなか見つからず、時代劇二本から予告編で「義」が連発されていて長いもう一本よりは、以前観た「のぼうの城」と同じ原作者のもののほうが、アナーキーでましかと判断、大阪駅エスカレーターをひたすら駆け上り、表題作品上映に何とか間に合ったのだが…http://www.shinobinokuni.jp/index.html。「のぼうの城」と同じく織田信雄の伊賀攻め失敗という一応の史実をベースとしつつも、荒唐無稽なアクション中心というのは許せるのだが、妙にイデオロギッシュな思想をぶち込んでくるのには失望。伊賀惣国を指導層が百姓および他国から買い付けた奴隷を忍者にして、それを各地に貸し付けて儲けており、関係者は全て利益だけで動くという設定で、信雄を挑発してその価値を上げようとしたという設定はまだしも(その割に貨幣経済が全く存在していない…)、主要登場人物のそれへの疑問が「くにをまもる」に収斂されてしまっている点がいただけなく、現在日本の映像まで使っていて極めて露骨。原作は未読だが、「のぼうの城」のような痛快感はなく、エンディング映像がロケ地らしき海がみえる房総半島というのも、どこを舞台にしたのかと思うとしらけるほかなく(「のぼうの城」が現地の電信柱から土豪の名字を追っかけたのとは正反対)、もやもやが残る結果となった。観客は3割程度の入りで女性が圧倒的、年齢層から観て主演俳優目当てっぽかったのはさすがの動員力…。