wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

栄原永遠男編『館長と学ぼう大阪の新しい歴史1』

本日はルーティン姫路、相変わらず通勤には慣れないが業務は特に問題なく終了。というわけで、昨日読了の電車読書の備忘http://www.tohoshuppan.co.jp/2017h/05/s17-285-2.html。どこの博物館でも学芸員・外部研究者による市民向け講演会が持たれていて、わずかながら当方にもお声がかけられることがあり、姫路に通うようになってからは企画段階から関わるものもある。その際に必ず問題になるのが質疑応答で、当方が単独でしゃべるときは、話が下手でテーマもポピュラーでないため、しばしば沈黙が支配することが多い一方で、ある機会には延々と持論を展開されて戸惑ったこともある。複数の場合はパネルディスカッション形式にするというケースもあるが、そこまで人員がとれるとは限らない。それに対して本書のもとになった企画は、大阪歴史博物館学芸員による講演会に対して、館長が質問して問題を掘り下げるという形式で、報告だけでなく質疑をそのまま会話体で再録したもの。しかも事前に打ち合わせをせず、館長がいくつかの関連論文を読んだだけで、質疑が行われるというものでなかなか緊張感のあるやり取りもみられる。編者は当方も大学院時代に単位を頂いた先生だが、穏やかな人柄とは裏腹に?学問的にはめちゃくちゃ厳しい方で、「学芸員の研究内容や人柄を紹介する」といいながら、最初から出版を予定しているなど、実は学芸員に高いハードルを課したもの。しかも古代史専攻とはいえ、しっかりした準備に裏打された質問はかなり厳しく、報告者の力量が浮き彫りになり、密かに読み応えはあるもの。聴講者の反応がわからないのが気になるが、学芸員の力量アップによる館の活性化という編者の志向性はよくわかるところ。なお講義などで大阪地域史を取り上げたことともある当方もいろいろ勉強になったのだが、気になったのが近世の今宮・木津両村が全く漁業に従事していなかったとされるところ(難波村は活動)、中世との連続性、そのうえ今宮は近世も祗園社にハマグリを献上していたはずで、その辺の事情が知りたいもの。