wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

天野忠幸・高橋恵『三好長慶 河内飯盛城より天下を制す』

本日も姫路、新しい方が来られその他にもまあいろいろ…。気分を切り替えて電車読書の備忘。三好関連本で広く知られるようになった天野氏の最新作http://www.fubaisha.com/search.cgi?mode=close_up&isbn=0573-6。共著になっている高橋氏というのは劇作家らしく、長慶兄弟を主人公とした朗読劇の脚本が収められている。というのもこの本は飯盛城の立地する大東市の肝いりで作られたもので、末尾には市長・地方創生局職員・大阪ガス株式会社近畿圏都市魅力研究室・生涯学習センター館長の文章が収められている。大東市では飯盛城を国史跡にする取り組みが進められており、天野氏の文章は連続講座をもとに著者自身が書き下ろしたものということ。当方も昨年からとある国史跡指定に向けての取り組みの末席に加わっており、姫路に通っているのも町おこしが大義名分になっているからこそのもの。とはいえ率直に言ってかなり危うい印象を受けた。前々に直接講演での経験を伺っているときからリップ・サービスが過ぎるように感じていたのだが、今回はやや度が過ぎているのではないか。もちろん人それぞれに「なりたい自分」があり、バラエティー番組に出ている方々の様子をみていると、恐らくこれで満足されているのかなと思うし、他人が批判することはないのだろう。しかしそれが学問的にどうかというと話は別になる。著者に戻っていうと歴史上の人物について、余りにも単純化するとともに内面にまで踏み込んでしまっており、疑問を感じざるを得ない。当方のようなふがいない「先輩」が居座っていたため、講演は重要な生活手段になっていたようなので、大きいことはいえないのだが、せっかくのテニュアにありつけた今ここで今後の方向性については立ち止まって吟味してほしいと思う。