wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

田島公『近衛家名宝からたどる宮廷文化史』

本日はルーティン姫路。相変わらず生活リズムは作れず、往復の新快速で泥のように眠り、勤務も午後は睡魔と戦いながらになり、その上に…。そんな中ようやく読了したのが表題書で、ストックが尽きてきたのでいくつかの論考に惹かれ衝動買いしたものhttp://kasamashoin.jp/2016/03/post_3568.html近衛家文庫の歴史はいろいろと興味深く、『兵範記』紙背文書では新紹介のものもあり(某氏が存命なら早くに全文書が活字になっていたはずなのだが…)、「宮城図」の系統分析もいろいろ教えられることが多く、門外漢の書跡・漢籍についても色々と勉強になった。ただ道長についての論考はもう少し整理できなかったのだろうか。また古文書についての論考が全くなく、家領目録や戦国期の一部については紹介された論考があるが、全体の概要についてどこかで論究がほしかったところ。方向性が古典学に向かっているので致し方ないのだが、当主の教養ばかりが強調されるのはやや違和感を覚えるというのが、下々の感想。ところで陽明文庫理事長および事務長としてお名前がみえる名和さん(年齢からして親子?)というのは、家司の末裔の方なのだろうか、少し気になるところ。気がつけば七月も後半で、八月も姫路は続く。さすがに某書評依頼はお断りしたのだが、本年12月までの締切原稿は史料翻刻を含め5本もある。膨大すぎて立ちすくんでしまっているが、何とかしなければならない。