wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

ラートカウ氏

本日午前は以前ここでも紹介したドイツ人環境史学者の尊顔を拝むため、近所で行われたシンポジウムに出かける。写真は上げないがスラッとした長身で、水利にかかわる知識は洋の時代も東西を問わず該博、いかにも大学者という風体の方だった。配布されたのはサマリーだけで、当方はドイツ語は全く解さないが、妙に興奮した口調でしゃべられているセンテンスがあり訝しく感じたが、後の通訳によるとシリア難民の急増の背景に水利システムの破壊があるという内容で、反原発を掲げる闘士としての熱さもうかがうことができた。報告はそのほかに琵琶湖と中国。琵琶湖の話しはこれまでの議論に加えて新しい論点が加わっており面白かったのだが、前提は近世初期から環境破壊が始まるという旧説。歴史地理学者として時代を超えて議論されている方なのだが、やはり呪縛は強固なようだ。昨日ちょうど「松根」の前に「松板」があることを発見したところだったので、余計に悔しい思い。メチエでも書かせてくれないだろうか。中国史のほうは石刻史料の話しが興味深かったが内容は概説中心、水利権の売買の意味が気になるのだが…。会場では6年ほど前にたまたま名刺交換をする機会があっただけで報告を依頼され、当方が近年の問題関心を持つ直接のきっかけになった方にも久しぶりにお会いすることができた。簡単な質疑応答だけ聞いて午後は組合の執行委員会。状況はますます深刻化しており無力さだけが感じられる。ただ当方の周りではいくつかの人事が動いたようで、昨日玉突きで非常勤が一コマ増えた。これでようやく五コマ、こちらは引き続き募集中。あわせてよろしくお願い申し上げます。