wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

夏の京都の博物館

昨日は変な学長で有名な京都の有名私学での定期団交に出席。うわさには聞いていたが、権限のない出席者の官僚答弁にイラつく。当方は直接の当事者ではないのだが、夏の3dayチケットを購入していたため、博物館めぐりのついでみたいなもの。まず京阪七条から徒歩で京都国立博物館http://www.kyohaku.go.jp/jp/theme/index.html。チケット特典で520円が410円に。絵巻室では遊行縁起の一遍入滅場面(有名な絵伝と異なり癩者が全く描かれない)、天文5年成立の日蓮龍口法難場面に登場する武士が足軽なことなどいろいろ発見。中世絵画室では戦国期に関東で活躍した雪村という画家の存在をはじめて知る。また特別展観「仏法東漸」では北野社一切経の現物を拝み、交野郡神尾寺という寺院が重要だったことを認識(平凡社地名辞典を検索しても全く登場しなかったが、国史大辞典では茶の産地としても確認できた)。やはり行くだけで勉強になる。続いてバスと地下鉄を乗り継いで京都文化博物館で開催されている「ユネスコ世界記憶遺産登録候補 東寺百合文書展」へhttp://www.bunpaku.or.jp/exhi_shibun_post/unesco_touzi/。こちらは夏休み無料開放期間。室町将軍の花押のある文書を中心に10数点のミニ展示だが、熟覧することができた。学芸員と思われる方が学生らしき集団に解説していたが、何れも同定できなかった。続いて地下鉄・バスを乗り継いで京都市立考古資料館の特別展示「都へのあこがれー広がる京文化」http://www.kyoto-arc.or.jp/blog/jp-mus-exhibition/1755.html?cat=11へ。ここは無料施設。担当者は機関銃などのミニ展示設営のため忙しくされていたが、要点を解説していただく。西陣織の裂帖が展示されており、いくつかは戦国期までさかのぼる可能性があること、宴会で使用されたことが知られる京都系土師器について、京都のいくつかで出土したもの、周防山口で出土したもの、豊後府内で出土したものが並べられており、京都から下った職人の手による精巧な山口のものに対して、雰囲気だけで作った武骨な府内のものとの対比が、非常によくわかる。なお府内の輸入陶磁器の質は非常に高く、京都文化は形式上だけ取り入れたというべきか。各地の発掘調査の進展でかなりのレベルのことがわかるようになったことが示されている。最後の団交だけは余計だったが、充実した時間を過ごすことができた。なお組合連名で「安全保障法案の制定・改定に反対する声明」を出していますので、貼り付けておきますhttp://www.hijokin.org/doc/seimei_20150728.pdf