wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

河内将芳『秀吉没後の豊臣と徳川』

本日はラス前の姫路出勤日。例によってゆっくり出かけたが、播州赤穂行きということもあって電車では全く座れず。海外からの旅行者を見かけないのを除けばコロナ前。そういうわけで電車読書はすすみ表題書を読了。副題に京都・東山大仏の変遷からたどるとあるように、秀吉没後に残された政権関係者(ここには家康も含まれる)が、京都における秀吉権力の象徴的存在として扱われた東山大仏と本尊の歩みを通じて、「関東と京都の御弓箭」としての関ヶ原合戦からその続編としての大坂の陣までの過程を辿ったもの。視点は一貫していて京都でそれらがどのような過程のものとして受け止められ、逆に家康は京都にどのように働きかけたのかというもの。著者は同様の視点で、祇園祭を通じて室町殿を、その後は信長、秀吉と辿ってきており、ある意味でその完結編ともいうべきもので、ここでは家康が東山大仏の再建を一環としてすすめることで豊臣政権の後継者としての立ち位置を崩さない一方で、豊臣の滅亡によって京都への新たな政策を採ることができた状況が示されている。察しが悪く途中の著作では充分に読み取れなかったが、武家と京都という大きな問題への一つの解答が示されたことに感服。なお大坂冬の陣で大坂方の百姓・町人の両手の指を切って城へ追い返したというのも初めて知った。

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