wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

吉川賢『森林に何が起きているのか』

本日はルーティン姫路、紀要再校に関わる作業を行う。先ほどリモートで職場のメールを確認し、本日執筆者にお送りしたメールの返事を確認、明日には返却できる。例によって朝1時間年休もあって電車読書はすすみ、近年の関心から購入し、読みさしになっていた表題書を読了。熱帯からシベリアまで世界で調査経験を有する森林科学者(本来の専門は乾燥地林で、内蒙古農業大学客員教授という肩書きもあるよう)が、近年の森林火災の多発、温暖化らによるシベリアタイガの危機、砂漠化、熱帯林の喪失など温暖化による世界の現状と、日本の管理不全とあいまった状況を解説し、日本の林業を森林の統合的管理という方向にむけることを提言したもの。そもそもの二酸化炭素排出に加え、炭素を蓄積していた森林の破壊と温暖化らによる永久凍土の中の炭素が排出されることでより深刻な影響を与えている世界の現状がコンパクトに整理されており勉強になる。日本の林業について、民間の管理経営を長期間受託する現代版コルホーズが提唱されているが、国有林には触れられていない。

森林に何が起きているのか -吉川賢 著|新書|中央公論新社