wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

渡辺靖『アメリカとは何か』

週末は対面の研究会。いろいろと勉強させていただき、久しぶりにお目にかかってお話しさせていただいた方も何人か、お初の方もあった。当方は相変わらずの放言ばかりでしたが、いろいろありがとうございました。そんなわけで近場とはいえ、電車読書もすすみその備忘。記憶が曖昧だが、3000円でポイントアップというので衝動買いしていたもの。現代アメリカの政治状況を、「リベラル」「保守」「リバタリアン」「権威主義」の四象限に分類する構図をもとに、権威主義自国第一主義)・民主社会主義(リベラルの左派ポピュリズムと位置づけ)・リバタリアンの世界認識が、第二次大戦後に旧来のエリートエスタブリッシュメントが作り上げてきたリベラルな国際秩序から、遠心力をもってそれぞれ異質なものとなっている現状を紹介。今後の展望として人口動態が多様化し新しい価値観をもつ若い世代が中心になることでリベラル化するという楽観的なシナリオ、教育・経済格差の拡大が現状破壊を訴えるポピュリズムを支持する悲観的なシナリオが描かれる。ただ分裂の拡大の一方で、対中強硬路線のみが共有可能とされるところが気がかり。現米政権もそれを意識して中国には強硬・挑発路線をとっており、より短期的に別の悲観的なシナリオの可能性もより高いようにみえ、著者も言外にそれを支持しているように感じた。

アメリカとは何か 自画像と世界観をめぐる相剋 - 岩波書店