wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

鈴木董『食はイスタンブルにあり』

本日は千里山2コマ。この2年間は第1回目は全て遠隔から始まっていたため、微調整しながら使い回しているとはいえ対面では久しぶりの内容。千里山の教養科目は遠隔・対面を最初から分離して遠隔に受講者が殺到しているらしく、80名と40名だったがそれでも緊張感。電車読書のほうは遙か昔に衝動買いしていた表題書をようやく処理。オスマン帝国の首都イスタンブルにおける食生活の豊かさを17世紀の公定価格表と19世紀の料理書を基本史料として、市場・調理方法・宮廷料理などを概観したもの。遊牧民族であったトルコ語「ヨウルト」由来のヨーグルト、焼き肉型・蒸し焼き型・煮込み型の3種類があるケバブ、各地の食材の集積、貧者への給食、宮廷による洗練化など、食文化の展開と、19世紀の「西洋化」、著者が留学していた1970年代、原本が出版された1995年、その後(文庫版のあとがき)における「伝統」の衰退と地方料理のメジャー化という状況が描かれる。残念ながら食したことはないのだが、いろいろ興味深いところ。

『食はイスタンブルにあり 君府名物考』(鈴木 董):講談社学術文庫|講談社BOOK倶楽部