wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

ローランド・エノス『「木」から辿る人類史』

本日は本年最後のルーティン姫路。データ整理はある程度すすみ、昨日雑誌で紹介されていた論文も入手できたので、恒例となった正月の原稿書きの準備は整った。そんなわけで電車読書の備忘もこれが最後、書店で見かけ衝動買いしていたもの。著者はもともと生体工学の研究者ということで、その視点から樹上生活以来の人類の進化と、組織構造を活かした木の多様な利用、産業革命以後にも重要な役割を果たし、現代もパルプによる紙生産も含め木材の使用量は増え続ける一方で、森林破壊と植林による植生の単純化という危機に直面しているとして、関係性を取り戻すべき事を説いたもの。著者がイギリス人だということもあって、歴史時代の叙述がヨーロッパ・北米に偏っているきらいはあるが、力学的視点は興味深く、ストーンヘンジに木造バージョンが存在し、そちらが祭礼における生者の領域を示すという説があるというのも初めて知った。

「木」から辿る人類史 ヒトの進化と繁栄の秘密に迫る | NHK出版 

それでは皆様、よいお年をお迎えください。