wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

芝健介『ヒトラー』

本日は公務出張。内容はここに記さないがいろいろ有益。私費で『紀伊考古学研究』24(特集 躍動する熊野武士団ーその本拠と特質を探るー)・和歌山県紀伊風土記の丘編『海に挑み、海をひらくーきのくに七千年の文化交流史ー』を購入。というわけで昨日に引き続き長距離移動となり、表題書を読了。ヒトラーの生育史からナチ党時代、全権委任法以後のユダヤ人政策と戦争遂行の推移、戦後の評価までをまとめたもの。講義プリントもいろいろ補訂することができ有益。安倍政権ともなぞらえ、本人自身の資質以上にまわりが「忖度」することで、議会政治に見切りをつけた国民の期待を受けてカリスマ的支配が実現したとのこと。ただ著者の方針とするミュンヒェンなど原語に近い表記とするのは、当方が発音できない・ただでさえ語句暗記としか思っていない受講生に混乱を招くため思案のしどころ。なおそれと別に「ミュンヒェン一揆」という呼称は前から疑問、蜂起ではだめ一揆などという特異な表現が用いられるているのか。本書によると裁判がまともに機能していればこれで死刑判決もあり得たらしいが。東京地検特捜部が職務放棄したこの国も果たしてどうなるのだろうか。

ヒトラー - 岩波書店