wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

長谷川公一『環境社会学入門』

本日はルーティン姫路。当地は大雨ではなかったが一日中降り続く。そんななか電車読書はなんとなくタイトルで衝動買いしていたもの。著者はOD一年で東大社会学研究室助手・1年半で東北大教養学部・6年で文学部社会学研究室という経歴で昨年2月のオンライン最終講義をもとに原稿化したとのこと。そのため著者の山形の辺境で生まれて以来の自伝とあわせて、新幹線公害・資源動員論を導入した社会運動論・アメリカにおける原発閉鎖の実地調査・六ヶ所村・著者のような公害研究から出発した研究者と嘉田由紀子(今は親権にはまって危ない人のようだが)のような生態系から出発した研究者が1990年に発足した環境社会学研究会・持続可能な社会の追究、という著者の学問的歩を通して概観したもので、学史がよくわかり有益。直接的な政治とは距離を置いているように見えるが、前々エントリーで紹介した仙台石炭火力発電所差し止め訴訟の原稿団長となるなど実践の人でもあり、学問と運動の両輪を強く意識されているよう。

筑摩書房 環境社会学入門 ─持続可能な未来をつくる / 長谷川 公一 著