wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

山室信一『モダン語の世界へ』

本日は第一回目以来の枚方3コマ。その時にうまくいかなかったGoogleMeetも遠隔受講者からの苦情はないようでとりあえずよかった。ただかなり体力を消化したようで、3コマ目は喉が引っかかって声がすぐに出せないことがしばしば。そんななかで電車読書の備忘を簡単に。著者の名前を久しぶりに見かけ、衝動買いしていたもの。1910年から39年に登場したことばをモダン語と総称し、第一次グローバリゼーションのなかでの社会の諸相、とりわけ注目の対象になった女性、さらに植民地近代にまで射程を広げて、著者が追及してきた思想連鎖を新たな角度から見通したもの。「おわりにー終わりなき『思詞学』」でそのあたりがまとめられているのだが、こちらの頭に余裕がないので省略。それにしても「デコる」のような名詞省略+るでの動詞化、~チック、ウルトラなど、こちらが実体験した新語の多くがこの時代にすでに生まれていたことが驚き。村山知義の名前も見えるが、あだ花が戦後に繰り返されただけなのか、暮れゆく社会に生きる身として、改めて考えさせられるところ。巻末の「モダン・ガール小辞典」も興味深く、マージャン・ガール(30年の東京に270名)、ステッキ・ガールなどなど、同伴を目的とした職業が多数存在していたのも圧巻。

モダン語の世界へ - 岩波書店