wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

上田信『人口の中国史』

今週は月が対面、火水が遠隔、木から姫路三連勤で、ボロボロで来週水曜の準備がほぼゼロ状態だが、その気力もなく電車読書の備忘。だいぶ前に火曜日のネタ探しで衝動買いしていたもの。「中国」という枠組みが形成された先史時代から紀元後2世紀、東アジア・ステージの14世紀前半まで、モンゴルによって東ユーラシア・ステージとなったそれ以後から18世紀の人口急増期までの3段階に区分し、「合散離集のサイクル」で説明したもの。最初のステージはどうしても誤差が多くなるにもかかわらず中国人研究者の推計を対案なくディスるだけで興ざめ。それに対して著者の専門でもある最後のステージは、死亡の季節性・米大陸原産の農産物の普及・客家少数民族が居住する「辺境」への漢族の拡大・族譜からのライフサイクル研究・「溺女」(女児間引き慣行)の減少といった要因が19世紀の人口急増を招くとともに、その矛盾(洪秀全客家の出自)が外からのグローバルシステムへの強制的組み込みと相まって叛乱を生じさせたことが論じられ有益。人口の中国史 - 岩波書店

日本学術会議が話題。案の定「○○は左翼ではない」・「自分は選んでいない」など脳天気な反応。メディアがスルーして赤旗に抜かせた段階ですでに絶望的なことすら理解されず。身分保障のあるかたがたは結構だが、何のために「学問」に携わってきたのか・・・。ここまで「冷笑」系のバカばかりが増えるとは。