本日は3月から延期になった組合総会。予想以上に参加者が少なく、課題は山積み・・・。そんな中で表題書をようやく読了。久しぶりに同業者の書いたもので、目次に「里山」とあるのに引っかかって衝動買いしていたもの。長らく基層信仰と捉えられていた山岳宗教について、東アジア仏教の受容と定着過程のなかに位置づけた作品。最初の部分は某大先生が主張されていたような気がしたが、それ以外は先行研究の扱いも丁寧で、山岳小説・著者の登山記なども交えた叙述もわかりやすい。ただ必ずしも山頂が特別視されていたわけではなく、むしろ俗界との接点への展開こそが重要という意味で、「里山」という用語を使用するのは違和感がある。もちろん史料用語ではないのだが、肥料・薪炭などを自給的に獲得する場として定義すべきで、葛川のような商業的な炭生産・伐木が行われた場をそれに含めるのは、意味を拡散しすぎているのではないか。なお著者は高校生物部に属し、山歩き・生態系に触れていたとのこと。高尾山とはいえ、中世宗教史研究者になったというのは少し意外。
https://gendai.ismedia.jp/list/books/gendai-shinsho/9784065206201