wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

大阪歴史博物館「国指定重要文化財 久米田寺文書の世界」

結局、論文集にとりかかることができず(この何年来、外在的締切原稿しか書けなくなっている)、ふと思い立って表題の展覧会を観覧。街は普通の人混み、徳禅寺文書・九条家本紙背文書集を閲覧するために立ち寄った図書館は、半減した座席の最後の一つをようやく確保。前者には室町の材木屋関連の文書などがちらほら。ただし博物館は親子連れが二組と、なぜか文書を熱心に見ている男性客が一名のみ。本来予定されていた特展どころか同時開催予定の「壺井八幡宮の社宝」までもが中止、ここ何年来の賑わいの主力だった外国人観光客が失われるとこの有様。効果音だけがむなしく響いていた。内容は23点の文書がならび、安東蓮聖の花押もはじめて拝ませてもらう。また観応元年十一月廿八日付と観応二年八月廿九日付の直義御判御教書がならび、ほぼ同文の祈祷命令だが、後者の大きさは前者の四分の一以下で、政治的状況がもろに反映されていて興味深い。なお天平勝宝元年「久米田寺領流記坪付帳案」について、「泉南郡」の記載から後世の偽作とされるが、字は素人目にはそれなりに古いような印象を受けた。「泉南郡」部分も同筆なので、天平ではないのだろうがいつまで降るのか。「流記」は別の寺院文書にもあった気がするが・・・。ともあれ眼福。

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