wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

丸橋充拓『江南の発展』

本日はルーティン姫路。先週火曜日に7割減シフトが決定し、当方も昨日は在宅勤務だったが、本日は出勤日。もっとも連携事業がストップしてしまっているので、自宅ではネットから、職場では自宅にない刊本からのDB作成がほとんで、作業としては変わらない。そんな中で読了したのが岩波新書中国の歴史シリーズ二巻目の表題書。中原に対して長江・海の世界の視点から漢代以前から南宋までの歴史を通覧したもの。前巻と同じくとんどもない長期間を扱っている割に、政治史が叙述されているため、人名の羅列になってしまいその部分ははっきり言って全く面白くない。ただ「専制と放任が併存する」中華帝国のもと、中間団体が希薄で、家産均分慣行と移動・職業選択の自由によって著しく社会的流動性が高いため、「幇の関係」と概念づけられた個人間の信頼関係への依存が生存戦略になったしたたかで自己主張の強さという中国人民の特質の形成過程としては、大変興味深いもの。同調と自粛で出口戦略もなく破滅の道に仲良く向かう日本人民との違いはやはり甚だしい。江南の発展 - 岩波書店 アマゾンにリンクをはるのもどうかと思っても、検索して本家本元のサイトにたどり着くのが困難というのは、「ネットで真実」社会を象徴しているとはいえ、どうしようもないところ。