wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

酒井紀美『経覚』

本日はルーティン姫路。帰路は神戸線の遅れに引っかかり、30分以上かかってしまう。それでもぎりぎり快速に間に合ったので助かったのだが・・・。そんなわけで読みさしの表題書をようやく読了。最初の「きょうがく」(これは妥当だろうが、当方の登録は「きょうかく」)、自焼(「じやき」、これは重箱読みで根拠はあるのだろうか)に戸惑ったが、「支配者階級の人間」と明確に位置づけながら、転換期に直面した意識と行動の変化に焦点をあててその生涯をたどったところが興味深い。実は本書の前に某ベストセラーを今更ながら古書店で購入して(100円ではなかった)、読了してから読み進めたが、そのあたりが戦後歴史学に対する立ち位置の相違ということになろう。ただし著者自身は研究史について余り積極的に語ることはなく、本書でも参考文献が並べられているのみで、本文では全く言及がなく、簡単な謝辞のみであとがきすらない。それでも諸事情で15世紀の畿内近国について考える必要がでてきた当方にとっても有益な視点。経覚 - 株式会社 吉川弘文館 安政4年(1857)創業、歴史学中心の人文書出版社