wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師・研究員などとして生活の糧を得ていますが、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

遠藤ケイ『鉄に聴け鍛冶屋列伝』

あわせて電車読書の備忘。この間の関心から衝動買いしていたもの。新潟三条の町工場に生まれ鍛冶屋に憧れをもっていたものの、故郷を離れ絵を学び民俗学ルポライターになったという著者が、30歳を過ぎてから鍛冶修行をはじめるとともに、全国各地の職人を訪ね歩き俄に弟子修行をした体験ルポ。紹介されている事例は興味深いのだが、人物が異なるだけで同じような比喩がならぶのが難点。もともと『ナイフマガジン』なる雑誌に91年から97年に連載されたためのようで、今回はじめて単行本化され「大幅に加筆改稿」したというがどうかというところ。さらによりルポとして問題なのは、取材した時期が全く記されておらず、資料としての性格を損ねているのが残念。なお直接関係ないがこういうルポが趣味雑誌、しかも初出にあったかどうかは不明だがナイフ業界をかなり批判しているにも関わらず掲載されたところに、90年代のある種の余裕が感じられる。鉄に聴け 鍛冶屋列伝 (ちくま文庫)