wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

龍谷ミュージアム「日本の素朴絵」

昨日の学会参加の合間に観覧。もともと出品目録で15・16世紀の絵画がそこそこあるのを確認していたため。「素朴絵」とはリアリズムを追求した西洋美術に対して、ゆるい・かわいい・たのしい美術だということとし、16世紀を最初のピークだと評価。ただ西洋といってもそれ以前は同様の印象を受ける作品は多数あり、何れも陳列されていたが御伽草子系の絵巻と奈良絵本ではかなり異なるように思える一方で、頂点的作品といえる洛中洛外図屏風でも個々の人物の描写は似ているようにも感じる。ただそういう独善的感想は抜きにして御伽草子系の描写は大変興味深い。とりわけ大発見として学会で出会った人々全てに話しまくっていたのが、さいころ丁半博奕の場面。双六とは別にこれも16世紀には一般化していたことがわかる。その他にもいろいろあり、版が小さいのが難点だが図録も販売されている。http://museum.ryukoku.ac.jp/exhibition/sp.html

学会の中身は当日の討論・報告批判として活字になるはずなので、ここでは触れない。ただそれと別に史上最悪の忘れ物してしまったようで、今現在でも手がかりは得られていない…。