wsfpq577’s blog

日本中世史専攻、大学非常勤講師などで生活の糧を得ていますが(求職中)、ここでの発言は諸機関とは全く無関係です

倉地克直『「生きること」の歴史学』

今朝は急病人とのことで地下鉄は遅れ(難波まで進んでいたので、わざと遅らせにはならなかったが)、帰路も遅れていたがこちらはお詫びのアナウンスすらなし。三月のダイヤ改悪で本数を減らしたにも関わらず、定時運行とはほど遠い状況が続いている。今度の日曜日の結果によって○○電鉄に売り払われると、この状況はもっと悪化するだろう。単なる利権付け替え・デマ政治家がここまで支持を得る惨状。何とか気を取り直して電車読書の備忘は三月の頂き物。小学館を退職した方がはじめたシリーズ「日本歴史 私の最新講義」の一冊http://k-bun.co.jp/news_book16.html。この10年来の著者の歴史学への取り組方を示した論考を再構成して8講座としたもの。ジェンダー・ライフサイクル・いのち・災害などをキー・ワードに近世社会に生きた人びとを掘り下げようとしたもの(もともと著者は民衆思想史の研究者)。何れも個別事例から始まりながら、そこへの沈潜というより、普遍化を強く意識した哲学的志向に貫かれており、中世史を専攻する身としても示唆的な部分が多数ある。学部時代にしっかり学ぶことはなかったのだが、非常に広い地平で物事をみられていることに今更ながら気づかされる。頭の悪さはいかんともしがたいが、その考え方だけでも意識したいと思う。